ラムセス3世は、エジプト新王国・第20王朝のファラオ。尊敬する第19王朝のファラオ、ラムセス2世の治世を目指していたと伝えられています。
この第1塔門は、高さ22m、幅が63m。外壁には、ラーハラクティ神(ラー神とホルス神を合わせた神)の前で敵を打つラムセス3世や野牛狩りなどの勇敢な姿を描いたレリーフが残っています。
第2中庭の先には、24本の列柱室。列柱室の円柱から壁面、天井に至るまで、美しい彩色のレリーフが施されています。特に天井のレリーフは、色が鮮やかに残っていて珍しいものだそう。
そして、特徴的なのは、このふかーく掘られたレリーフ。
こぶしが入るくらいに深く掘られています。特にラムセス3世の名前の部分が深い掘り方。
何故か。
これまでご紹介した神殿等で起きていたのは、次の王(ファラオ)が前の王の名前を削り取っていましたよね。そう、そうなることを防ぐために、深く掘ったとか。
硬い石をここまで深く掘るのは時間も労力も要します。
そこまで執念が強いということなのでしょうかね。
基本的に野ざらしなので、この深い掘りの部分を住処にしているのが↓鳩たち。
どうしたものだか、もちろん下にはフンが大量に。
網をはるなど養生している個所もあるんですが、すべてにできているわけではないようです。
野ざらしの理由は、この青空。
ほんとに青い。そして、雲がない。
野良犬?かな。
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そして、ネフェルタリ王妃の墓。
ネフェルタリはラムセス2世の第1王妃。歴史小説「ラムセス2世」ではほぼ主人公として描かれていたので、私にとってのハイライトのひとつでした。
最大の権力をもつラムセス2世の王妃であるため、これまでの王妃とはくらべものにならないほどの権力と富を持っていました。そのため、墓の規模も破格。
こちらも中での撮影は禁止。
中には至る所に神々と王妃が描かれていて、その内容は来世に復活するための呪文を集めた「死者の書」から抜粋したもの。そして、壁画がほんとうに素晴らしく、この時代のぼかし技法や透けた質感を出す表現などもあります。
現在公開されているのは、1988年以降にイタリア人により修復されたもの。創建当初の彩色が再現されています。
自分で撮影はできませんでしたが、中を映した写真絵葉書を買うことができました。それがコレ!あっぱれの色彩です!